感情に支配されず、平常な自分を取り戻す思考の力
私たちは日々の生活の中で、理不尽に思える事や、許せない出来事に直面することがあります。
心ない言葉をぶつけられたり、期待を裏切られたりすると、瞬間的に怒りや悲しみといった感情が湧き上がってくる
これはごく自然な生理現象です。
しかし、この感情をそのまま言動にぶつけてしまうと、私たちは「理性ある人間」ではなく、「反応しているだけの動物」になってしまいます。
ここで重要なのは、感情そのものを無理に抑えつけることではなく、その後の“行動”を自分でコントロールすることです。

選択理論心理学が教えてくれること
アメリカの精神科医、ウィリアム・グラッサー博士が提唱した「選択理論心理学」では
私たちが経験する感情は“外から与えられるもの”ではなく、“自分で選んでいる”という視点に立っています。
「ん?怒りの感情なんて選んでないよ」と思うかもしれません。
実際、怒りという感情は出来事に対する第一反応として反射的に出てくるため、自分でコントロールしているように思えません。
ですが、選択理論では、感情は「思考・行為・生理反応・感情」という4つの要素から成る“全行動”の一部であり、直接コントロールできるのは「思考」と「行為」だと考えられています。
つまり怒りという感情が湧いた時、私たちはその後の「何を考えるか」「どう行動するか」を選ぶことがきるのです。
怒りを感じたとき、まずやるべきこと
怒りを感じたとき、大切なのは“5秒間の間”を取ることです。
深呼吸をして、まず「私は今怒っている」と自分の感情を認める。
ここまでは動物的な反応でも構いません。
しかし、その後に「この人はなぜこんなことを言ったのだろう?」と問を立てること。
理性的な“人間の脳”の出番です。
たとえば、
- この人は何かつらい過去があるのかもしれない
- 今日は何か嫌なことがあって、気持ちに余裕がないのかもしれない
- 私に向けられた怒りではなく、この人自身の中の問題なのかもしれない。
こうした視点を持つことで、怒りのエネルギーは少しずつ鎮まっていきます。
感情に飲み込まれることなく、自分の行動を選び直す余地が生まれるのです。
人間は“非力”であるが、“最強”である
私たち人間は、体格的にも力の面でも、他の動物と比べて決して強くはありません。
野生の世界に放り込まれれば、たちまち命の危険にさらされるでしょう。
しかし、それでも人類がこれだけ文明を築き、進化し、幸せを求めて生きてこられたのは
他の動物より圧倒的に優れた「脳」という武器を持っているからです。
「人間はこの“脳”を駆使して幸せを掴み取りなさい」という神様からのメッセージなのかもしれませんね。

まとめ
感情は私たちの人生に彩りを与えてくれます。
喜びも、悲しみも、怒りも、どれも人間らしさの一部です。
ですが感情だけに飲み込まれてしまえば、人間らしさではなく「動物的な思考と反応」に過ぎません。
感情が暴れる前に、自分で“考える”知識を意識すること
怒りのあとに訪れる「思考と行動」を自分の意志でコントロールすること。
その繰り返しが、長い年月をかけて人生の質を大きく変えていくのだと思います。
怒りが湧いたとき、ぜひ思い出してください。
「自分は何を考え、どう行動するかを選べるワンランク上の人間だ」という事実を。
相手の動物的な波長にワンランク上のあなたが、わざわざ付き合う必要はありません。
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